パルテノン多摩は、曽根幸一氏・環境設計研究所の設計で 1987年に開館して以降30年以上が経ち、社会や地域の変化とともに、劇場・ホールや市民の活動の場として新しいニーズに応える機能が求められていた。建物自体は新耐震基準以降のもので、充分な堅牢性もあったため、改修は新旧の機能が一体となり、新たな価値を生み出すことを基本方針に進められた。弊社は、プロポーザルから竣工まで、劇場計画と舞台特殊設備の設計・監理で携わった。
大ホールは当初からクラシック音楽に優れていたが、現代の要望に応え、さらなる音楽性能の改良を行った。そのほか、特定天井の対策を実施し、客席の勾配等、鑑賞環境を改善した。また、古典様式を意識した内装から演劇やミュージカルの上演にもふさわしい、落ち着いた内装に変更。舞台特殊設備はすべて最新システムに更新し、多様な舞台芸術の上演が可能な機能向上を達成している。
小ホールは機能を維持しながら、ライトバトンの電動化や安全性の向上を図った。さらに特別展示室を、展示だけでなく、コンサートやダンスのような舞台芸術の利用にも供するオープンスタジオに改修した。バリアフリー等の現代のニーズにも応え、市民の新たな活動の場として生まれ変わった。
建築概要
- 所在地
- 〒206-0033 東京都多摩市落合2丁目35番地 MAP
- 設計者
- 古谷誠章+NASCA・東畑・森村設計共同企業体
- 開館年
- 2022年
- 延床面積
- 15,215.35㎡
- 施設構成
- 大ホール、小ホール、オープンスタジオ、市民ギャラリー、リハーサル室・練習室1~4、会議室1~5、クリエイティブラボ、キッチンラボ、クラフトラボ、カフェ・ライブラリーラウンジ、こどもひろば
- 収容人数
- 大ホール:1,154席 小ホール:269席
業務領域
- 基礎調査、基本構想・基本計画段階
- 設計段階、施工段階